
吹田市・北摂に誕生した写真館ヒストリー
エキスポフォトスタジオ大阪は、大阪府吹田市山田市場にある小さな路面店のフォトスタジオです。
本ページでは、元々、万博公園と伊射奈岐神社の近隣にあった飲食店のテナント物件がどのような経緯で写真館へと生まれ変わり、どのような考え方で空間をつくってきたのかを、開設記録としてまとめています。
フリーランスのフォトグラファーとして日本全国40都道府県・世界20カ国をまわってきた一人のカメラマンが、なぜ吹田・北摂の地で「実店舗」を構えたのか。
そして、スタジオ・庭・観葉植物を含めた環境づくりに、どのような意図を込めてきたのか。
地域の皆さまへのご報告と、初めて当スタジオを知る方への自己紹介を兼ねた「実在証明」として記しています。

フリーカメラマンから、吹田のスタジオへ
エキスポフォトスタジオをプロデュースする前の寺川昌宏は、大阪・関西を拠点に日本全国各地で結婚写真や家族写真、七五三、お宮参り、犬やペット写真などを中心に撮影してきました。
現場は常に楽しく、たくさんのご家族や新郎新婦と出会ってきましたが、2020年の行動制限以降、撮影キャンセルが続き、仕事そのものが止まる時期を経験しました。
「撮影ができないこと」以上に、「新しい挑戦ができない環境」に置かれていることが、フォトグラファーとしての危機だと感じました。
そこで、自分の仕事の土台そのものを見直し、「10年、20年とかけて育てていく拠点」として写真スタジオをつくることを決意します。
単に機材を広げる場所ではなく、地域とともに呼吸し、人生の節目を何度も託していただける場所としての写真館。
その考えの行き着いた先が、現在のエキスポフォトスタジオ大阪です。

テナント物件との出会いと、地域目線のスタート
個人フォトグラファーがフォトスタジオを開業するには、幾つかの壁が存在します。
まず成功の見込みがない中での挑戦であり、固定費も一気に増えます。
「開業資金」と「開業から1年間は赤字でも耐えられるだけの資金」を最低ラインとし、坪数や立地よりも、3年単位で無理なく続けられる計画を優先して検討しました。
そんな中、仕事帰りに犬の散歩をしていた夜、近所で「テナント募集」の張り紙を見つけます。
元飲食店の居抜き物件で、ガラス張りの路面店。自宅からも近く、住民として以前から様子を見ていた場所でした。
昼は明るいのに、夜は高速道路の高架の影響で暗く、人通りの印象も決して良くない、万博公園の麓の地域の方はみな知っています。
だからこそ、「道ゆく人に明かりを灯す店でありたい」と感じました。
外から中の様子が見え、子どもも気軽に立ち寄れる、地域に開いた写真館。
東京資本のチェーンではなく、この町に住むカメラマンが、自分の足元で始めるスタジオであることに意味があると考え、この物件と正式に契約しました。




専門家とつくり上げた、スタジオの骨格
元飲食店の居抜き物件を写真館に変えるには、内装を「ゼロに戻す」作業が必要でした。
厨房やカウンター、配管、電気容量など、飲食店仕様の設備を整理し、撮影スペースを最大化するところから工事が始まります。
ここで力になってくれたのが、寺川が20歳のころから活動を応援してくれていた一級建築士さん。
そして内装・電気工事・造園・看板を担う職人さんたちです。
長年の撮影活動の中で出会った方々に相談できたことで、構造上の制約や工事上のリスクも踏まえた現実的な計画を立てることができました。
スタジオの間取りや動線については、「建築士への指示書」ではなく「対話のための資料」として、自分なりのイメージや撮影条件(レンズの焦点距離、光の向き、コンセント位置など)を書き出し、建築士とすり合わせました。
さらに、スタジオ経験のある先輩カメラマンにも現場に入ってもらい、撮影者の視点からもチェックを受けています。
カメラマンとしてやりたいこと、建築士としての安全性と機能性、先輩カメラマンの経験、近隣住民としての感覚。
これらを重ね合わせながら、一つのスタジオとしての骨格を整えていきました。


光と庭を生かしたスタジオ設計
内装工事で最もこだわったのは「光」です。
ストロボやライティング機材も完備していますが、人工光だけに頼らず、屋外ロケーションフォトに近い柔らかな光で撮影できる屋内スタジオであることが、この場所の大きな特徴です。
時間帯によっては、庭の植物に光が当たり、その影がスタジオ内に印象的な模様をつくります。
壁紙は真っ白一色ではなく、コンクリート調のクロスを採用し、光の表情や立体感が出やすい背景にしました。
ご自宅の延長のような安心感と、写真スタジオとしての表現力の両立を意識した設計です。
併設の庭は、前テナント時代からの植栽を尊重しつつ、造園業者に剪定と清掃を依頼し、「撮影に使える庭」へと整えました。
花壇のレイアウトや通路を見直し、スタジオ撮影後に家族や子どもが少し庭に出て数カット撮れる、無理のない規模の屋外スペースとして活用しています。
レモンの木も実をつけ、季節を感じられる小さな庭として、撮影以外の時間も楽しんでいただける環境になりました。


フォトスタジオ店舗看板に込めた想い
スタジオづくりの仕上げとして欠かせなかったのが、店舗看板でした。
エキスポフォトスタジオ大阪の看板施工は、大阪府守口市を拠点に活動されている看板業者・SignTopさんにお願いしました。
問い合わせから現場調査、ロゴデータの受け渡し、取付まで、とても丁寧に伴走していただき、店舗外観に不慣れな私にとって心強いパートナーでした。
看板は好きな大きさで出せばよいものではなく、自治体ごとに「屋外広告物」のルールがあります。吹田市では、一定サイズ以上の看板には申請が必要です。
その点も含めて、サイズや位置を専門家の目で確認していただき、カルプ文字によるスタジオロゴを設置しました。
地元のルールにきちんと沿った形で看板を出すことも、地域で営業する写真館としての大事な実在証明だと感じています。
スタジオ正面はコインパーキングに面しているため、遠くから大きく目立つというよりも、「前を通る人に、さりげなく存在を知ってもらう看板」にしたいという意図がありました。
そこで、もう一つの看板として振袖のLED看板を設置し、「ここは振袖や記念写真も撮れる写真館だ」ということが直感的に伝わるようにしました。


写真という文字への強い願い
この振袖看板に入っている「写真館」の文字は、奈良県在住の書家・もーちゃんに依頼した手書き文字です。
スマートフォンのカメラが当たり前になった時代だからこそ、写真という言葉が少し堅く、冷たく感じられてしまう場面もありますが、本来、家族写真や結婚写真は人を傷つけるものではなく、何度見返しても会話と笑いを生むものです。
その温度感を看板にも宿したくて、あたたかみのある筆文字で「写真館」と書いていただきました。
内装や光、庭、観葉植物に続き、看板づくりを通して学んだのは、「どこにコストをかけ、どこで無理をしないか」という見極めと、「信頼できる職人さんの言葉を素直に聞くこと」の大切さでした。スタジオの中だけで完結するのではなく、外観や看板を通じて街とつながり続けることも、吹田・北摂の写真館としての役割の一部だと考えています。

緑と光が調和する、シンプルなスタジオ
リニューアルオープン後は、内装に合わせて観葉植物も導入しました。
白を基調とした空間に緑を加えることで、光と影、人の存在が自然に溶け合う撮影環境を目指しています。
店頭には、花言葉が「真面目」「実直」のカポック(シェフレラ)を配置しました。
スタジオの運営方針とも重なり、「誠実に、正直に撮る写真館」でありたいという想いを象徴する存在です。
室内には「胸のときめき」「歓喜」という花言葉を持つエバーフレッシュや、フィカスウンベラータなどを配置し、前ボケや影として写真表現にも取り入れています。
流行の小物や大量のセットで空間を埋めるのではなく、余白と光と植物を生かしたシンプルな設計にしているのは、数十年後に写真を見返したとき、「その時その場所で生きていた人」の存在が真っ先に伝わってほしいからです。
スタジオの内装や植物は、そのための静かな舞台装置にすぎません。

写真館としての役割と、「信用・信頼・安心・高品質」
エキスポフォトスタジオでは、ウェディングフォト、成人式前撮り、家族写真、七五三、お宮参り、犬ペット写真まで従来の写真館と同じような撮影メニューをご用意しています。
一方で、個人カメラマンがプロデュースしたフォトスタジオなので「誰が撮るのか」がはっきり見えることです。
寺川昌宏という一人のフォトグラファーが、日々のブログやSNSを通じて活動や考え方を公開し、撮影者の人となりを事前に知っていただけるようにしています。
撮影内容や価格以上に大切なのは
この人に任せて大丈夫だろうかという信用
任せておけばきちんとやってくれるだろうという信頼
料金や流れが分かりやすいことによる安心
そして最終的な写真の高品質。
この四つの要素を、建物づくりから日々のコミュニケーションまで一貫して大切にしています。
外から仕事風景が見えるガラス面や、ベビーカー・車椅子・ペットでも入りやすい動線も、こうした考え方の延長上にあります。


吹田・北摂のまちとともに育っていくスタジオとして
2023年6月、フォトグラファー寺川昌宏の写真人生が「建物」という形で現実化しました。
写真館をフォトグラファーがプロデュースとはいえ、ひとつ自信を持って言えるのは、20代から、駆け出しの自分を見てくださっていた、誰かの“記憶の継続”によって建てられたということ。
この出来事は、ビジネスの成功ではなく、ある日世界が止まり行動制限があろうとも、人と人との時間の交わりの中にある、価値観の軸。
クリエティブは瞬間的な熱量だけでなく、時とともに信頼ありきで成熟されるものでもあるんだと思います。
「拡散から定着へ」
大阪府吹田市でのフォトグラファーとしての再出発は、長期的な形成を見据えて実体ありきでの船出になりました。
年を重ねること、それは衰えることではなく、多くの方々に生き方の証人となっていただけること。
「再び会いに行ける場所」
「現実の手触り」
この「当たり前」がどれほど大阪という地方都市にとって限定された価値観であるかをお伝えする場所として。
私自身も写真を通じて、これから出会える方々の人生にほんの少し耳をすませながら、結婚、出産、七五三、入学、成人式、還暦祝い、ペットとの日常まで、人生の節目に何度も足を運んでいただける場所として、単なる撮影用の箱ではなく、吹田・北摂の暮らしの中に根ざした写真館でありたいと考えています。
吹田市・北摂にお住まいの方はもちろん、遠方から検索やご紹介でこのページにたどり着かれた方にも、エキスポフォトスタジオ大阪という写真館が、どのような考え方とプロセスを経て生まれた場所なのかを知っていただく手がかりになれば幸いです。